プロクソンのMF70をCNC化し生基板からPCBを切削加工することに成功したので、忘備録として流れを列挙します。
ハードウェア編はこちら。
使用しているソフト
全部フリーかつWindows, Linuxで使用可能です。
KiCAD
回路図面、PCB図面設計ソフトです。こちらからダウンロード。
Freerouter
FlatCAM
CAMソフトです。KiCADより出力したガーバーデータをG-codeに変換します。
ダンロードはこちら Candle
PC上で動作するGRBL制御ソフトです。G-codeをアップロードしたり、ツールパスの表示、機械座標、ワーク座標の表示、JOG, パルス移動制御等ができます。
ダウンロードはこちら(後に制御用のショートカットがあるbCNCに変更しました)
図面からG-CODE,加工までの流れ
1. KiCADで図面を作成、PCBレイアウトを作成します。
2. Freerounterや自力で配線し、ベタ塗りします。
3. KiCADよりガーバーデータを出力します。
4. FlatCAMでガーバーデータを工具データを元にしてG-CODEに変換します。
5. CandleでG-CODEを読みとります。
6. ワーク座標を決定し、切削開始します。
7. 続いてドリル加工、切り離し加工を行って完成。
1. KiCADで図面を作成、PCBレイアウトを作成します。
2. Freerounterや自力で配線し、ベタ塗りします。
この時原点と補助座標の設定を行うのを忘れないでください。私は基板の左上を原点、補助座標にしています。
3. KiCADよりガーバーデータを出力します。
カーバーデータは, ファイル-> プロットから出力できます。
"原点に補助座標を使用"にチェックを入れます。これでガーバーデータの座標系は補助座標を原点にして作成されます。
"製造ファイル出力"で作成できます。
4. FlatCAMでガーバーデータを工具データを元にしてG-CODEに変換します。
FlatCAMでガーバーデータを読み込みます。
Projectタブにて、読み込んだガーバーデータを選択します。
基板裏側を加工する場合は反転する必要がありますので、Toolタブに移動し、Bottom layer、Point/Boxを反転したいデータにし、Mirror Objectにて反転します。Mirror Axis : Y, Axis Location: Boxにしています。
Selectedタブに移動します。
1. Isolating Routingに配線を作成する工具のデータを入力して、Generate Geometryをクリックします。
2. 基板カットも行うには、Board cutoutに工具データを入力し,Generate Geometryをクリックします。
Projectタブに移動すると、今作成したデータが追加されていますので、ISOを選択してSelectedタブに移動します。
ここではG-Code用のデータを作成します。Create CNC Jobに、工具の切り込み深さ、G00時のZ軸クリアランス、切削速度、工具径を設定し、Generateをクリックします。
Projectタブにcncというデータが作成されていますので、これを選択し、Selectedに移動します。
工具径を入力し、Export G-Codeをクリックすることで、G-codeデータの作成が完成です。
次にドリルデータを作成します。
File-> Open Excellon ...を選択し、ドリルのガーバーデータを読み込みます。
穴開け部分が赤くプロットされます。
穴がズレている場合は、Offestに移動距離を入力しOffsetをクリックすると、穴位置が移動します。フォーマットは"x,y"とカンマ区切りにします。
後は同様にG-codeを出力します。
5. CandleでG-CODEを読みとります。
OpenでG-codeを読み取ると工具パスが表示されます。
6. ワーク座標を決定し、切削開始します。
加工原点は矢印の場所になります。工具先端を基板上の加工原点に移動させ、下記ボタンを押下することで加工原点が設定されます。
工具径分移動させたい場合や、Z軸設定治具を使用しているなど、現在位置からXmm離れた場所に原点がある場合は、MDIにてG92コマンドを使用します。
例えば、工具先端が加工する基板の0.5mm上に有る場合は
G92 Z0.5
と入力することで、現在位置が加工原点+0.5mmにいるように加工原点が設定されます。
準備ができたら、Send を押すとG-codeの送信が開始されます。MF70の場合は主軸を回転させるのを忘れないでください。
7. 続いてドリル加工、切り離し加工を行って完成。
同様に工具交換、Z軸加工原点調整し、ドリル加工、切り離し加工を行なって完成です。
Z軸の原点出し
私はシンワの直尺ステンを使用しています。この定規は厚さが0.5mmなので、工具と基板の間に挟み、接触していれば工具先端は0.5mm上方にあるということになります。
工具を基板に近づけます。Jog送りを1pulse10や50にし、Z軸を1pulse分下げては定規を差し込み、下げては定規を差し込むを繰り返します。接触した場合はガタツキがなくなります。 接触、非接触の違いは感覚でわかりますので試してみてください。